茶店妄想叙事詩

顔も知らない誰かの物語を執筆しています。

スタバもうそう叙事詩

尾道 燕

街角のアリア

久々に1人でゆっくりと昼食が取れそうだ。しかも、いつもより時間に余裕がある。そう思い私は、少し離れたお店に行くことにした。薄暗い店内に木目調のアンティーク風のテーブルが並び、サラダにはクルトンが振りかけられ、カレーライスのお米が白くない、私…

限界を知る前に

帰宅ラッシュの雑踏が目立ち始めるこの時間、列車が線路を走る音や車のクラクション音、人々の談話と共に路上ライブのサックスが鳴り響いている。橙色に輝く夕日が一日の終わりを告げ、人混みで溢れている駅前で夢を追いかけるサックス奏者の男性。これが俗…

お好きな野菜は?

飲食店が立ち並ぶこの地下街は、お昼になると活気が溢れ、喧騒にまみれている。比較的、空いている店で昼食を終え、まだ少し時間があることを腕時計で確認をした。私は、食後の眠気覚ましにコーヒーを頂こうと思い、某コーヒーショップに寄った。少し列がで…

風に愛を乗せて

ベランダで煙草を吹かしながら黄昏れるには、やや肌寒く、少し風の強い夕暮れ。暖かくなってきたとはいえ、落日してしまえば、太陽も威厳がない。私は風から逃げるように某コーヒーショップへ入店した。 注文を終えて、空いている席を探していると、奥のテー…

美しく駆けてゆく君は

今日の帰り道はやけに人が少ない気がする。いつもは混み合っている歩道も、真っ直ぐ快適に歩けるではないか。そのことで、妙に感動してはいるのだが、結局、人が恋しくなって某コーヒーショップに寄ることにした。 注文を終えて、空いている席に私は座った。…

行き先は曖昧で

今日も、電車の中は満員だ。外は雨が降っていて、窓ガラスに打ち付ける水滴をぼんやりと眺めていた。いつもより湿度の高い車内からいち早く抜け出したい。そんなことを思った私は、途中の駅で下車して、某コーヒーショップに寄った。ひとしきりの注文を終え…

いちごは甘酸っぱい

寒さなどとっくに和らぎ、まだ5月半ばだというのに汗ばむ季節になってきた。去年の5月はこんなにも暑かっただろうか。過去の私に問う。 そんな帰り道、私は冷たいものが飲みたくなり、某コーヒーショップに寄った。ひとしきりの注文を終え、空いている席の椅…