茶店妄想叙事詩

顔も知らない誰かの物語を執筆しています。

スタバもうそう叙事詩

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

何処かにいる貴方へ(2)

このタイプライターのようなこの機械は一体何なのか。不思議そうな面持ちで彼女は、それを見つめていた。黒を基調としたアンティーク感が漂う代物で、埃を被っていているが、そこには麗しさをも感じることができる。これもまた、何か惹かれるものがあった。 …

何処かにいる貴方へ(1)

朝から雨が降っていたが、午後から人と会う予定があったので傘を取り出し、私は外へ出た。この傘も何年使っているかわからない。なんだか傘が疲労を訴えている気もする。そんな私も、この迷路のような街を歩いていると疲れを感じてしまう。いつまで経っても…

お好きな野菜は?

飲食店が立ち並ぶこの地下街は、お昼になると活気が溢れ、喧騒にまみれている。比較的、空いている店で昼食を終え、まだ少し時間があることを腕時計で確認をした。私は、食後の眠気覚ましにコーヒーを頂こうと思い、某コーヒーショップに寄った。少し列がで…

最新の美容科学にお任せください

会社帰りにコーヒーショップに立ち寄る。この時間は店内に賑わいもない。会話の弾んでいるいくつかのグループと、ただ目的無さそうに手元のスマホを触っている客がちらほらいる限りだ。僕もその1人かもしれない。強いて言えば疲れた体に甘いフラペチーノを流…

風に愛を乗せて

ベランダで煙草を吹かしながら黄昏れるには、やや肌寒く、少し風の強い夕暮れ。暖かくなってきたとはいえ、落日してしまえば、太陽も威厳がない。私は風から逃げるように某コーヒーショップへ入店した。 注文を終えて、空いている席を探していると、奥のテー…